運命の弄び

『真希……ありがとな。
俺が一週間で悲しみから立ち直れたのは、
お前がいてくれたからだと正直にそう思ってる』

やだ……、
こいつ急にそんな口調で……。

「ちょ……どうしたのよ、突然……」

『いいから聞いてくれ』

「……」

突然の雰囲気の違いに耐えられなくなり、
言葉を挟むが、
零二の言葉に遮られる。
姿はなく、零二の声だけが聞こえる。
……だからこそ余計に零二の声が心に響く。

『……もちろん、
ほかのみんなの力もあると思う。
……でも、
お前は毎日、
俺の様子を見に来てくれたり、
授業のレポートや食事を届けてくれたよな?
……正直最初の頃は一人でいたかったから……、
うとましい、って勝手に思っていた。
でも、
毎日のお前の姿を見ているたびに、
お前の思い、っていうものが伝わってきたんだ』

……私は黙って聞いていた。
零二の真っ直ぐな気持ちが私の心を打ち始めていた。
その度に胸がきゅんと高鳴る。
携帯電話を握りしめる力がいつの間にか強くなっていた。