「零二くん……よければこれからも香澄に会ってやってほしいんだ。
あの子、
零二くんといる時が1番楽しいみたいだし……」

「……わかりました。
というよりそのつもりですから。」

「悪いね……」

薺さんは笑ってくれたが、いつもの力は無かった。
薺さんにかかる負担はいかに大きいかは単純には計れない。
自分の愛娘のことだから、
苦にはしないはずだが、
いつ治るともしれない香澄の病気は、
親にとってもきっと辛い戦いなのだ。
毎日、
娘の悲しみ、不安を受けながら、
自信の心痛にも堪えていかねばならない。

俺という存在が少しでも香澄や薺さんの安らぎになれるなら……。

家族を想う気持ちは失った今だからこそよく分かる。

俺も香澄の快復を薺さんと一緒に信じて、
そして励ましていきたい。
何時になるかは分からないが、
その時がなるべく早く来ることを祈って。