「香澄は……どうなんですか?」

俺が香澄の病状を聞いたところでどうにかなるわけでは無いが、
それでも聞かずにはいられなかった。

「最近じゃねぇ……、
食事も細くなってきてるし……、
話し掛けても上の空で、
すっかり元気をなくしちまってるんだ……。
それでいて妙にカリカリしてる時もあるし……」

それは分かる気がする。
あんなに必要以上に制限された生活では、
ストレスも溜まるだろう。
香澄は他の人に鬱憤をぶつけるような女の子では無いが、
あんな状態で寝たきり、ともなれば情緒も不安定になるのは無理もない。

「でもね、
零二くんが来るって言ったら笑顔を見せたんだ。
君が来てない間……、
香澄は毎日零二くんのこと聞いてたよ……」

香澄は少なからず、
俺の来訪を楽しみにしてくれているのだろう。
会えば嬉しそうに笑ってくれるし、
外の話しをすれば楽しそうに聞いてくれる。
そんな香澄を見ていて、
たまに心がいたたまれない気持ちで一杯になる時がある。