運命の弄び

「ごめんね……、
最近、気持ちが落ち込むばかりで……、
せっかく零二くんが明るい話しをしてくれたのに……」

「いや……気にするなよ」

外に出られない。
まともに動くことさえできない。
ただ寝たきりの自分。

自由を奪われ、
日々辛い病気との戦いでは気が滅入るのも無理はない。

しかし、
一週間ぶりに見た香澄はいつもより、より落ち込んでいる風にも見えた。
それだけ症状が重いとの証しなのかもしれない。

起き上がれるということはあるいは少し介抱に向かってはいるのだろうか……。

「私も……零二くんと一緒に学校に行きたいな……」

「香澄……」

そう力無く呟く香澄。
慰めようとして声がでなかった。
香澄は必死に病気と戦っている。
それでもなかなか元気な自分を取り戻せずにいる。
そのもどかしさ、辛さは計り知れないだろう。
友達も満足に作れず、
見舞に来るといえば、
一部の生徒と定期連絡の先生、
それを除けば後は俺ぐらいだ。
寂しさもきっと深いに違いない。