運命の弄び

話すうちに顔色も少しずつ良くなったようだ。
少し安心しながら、
俺も話していた。



……やがて、
話しに一区切りついたところで、
俺が話題を模索してると、不意に香澄が俯いた。

「香澄?」

呼び掛ける。

「……いいな。
零二くんやお友達がうらやましい」

「え……?」

「私も早く学校に行きたいな……」

香澄の顔が悲しそうに歪んだ。

「……身体の調子……悪いのか?」

「……うん。
最近は特に調子が悪いの」

……香澄は幼い頃から病弱な体質で、
学校にも満足に通えないのだ。
歳は俺と同じ十七歳で、
実は白凌高校の生徒なのだが、
現在は休学中。


俺はここでバイトを始めたときから、
香澄と知り合いなのだが、
バイトの日はもちろん、
週に五日はこうして香澄の見舞に訪れている。

調子がいいときは学校に通ったり、
薺さんの仕事を手伝っているのだが、
大半はこうして床に伏せっている。
特に冬に体調を崩しやすく、
ここ二ヶ月は外にもまともに出られない状態だ。