運命の弄び

「あの……零二くんは、
このあとは時間ある？」

「ああ、本当なら薺さんのお仕事を手伝うつもりだったけど、
今日はいい、って言ってるからさ。
結構、暇なんだ」

「本当に？
じゃあ、少しお話ししよ？」

「ああ、そのつもりだ」

香澄が嬉しそうに笑った。
俺も一緒に笑う。
でも……実は心配だった。

……香澄の顔色があまり良くなかったからだ。
いや、むしろ悪い。
頬は赤みを失ったように白く、
見た目にも辛そうだ。
多分、
薺さんの言う通り調子が悪かったから、
今の今まで床に伏せっていたのだろう。


本当は寝かせてあげておいた方がいいんだろうけど、
香澄の嬉しそうな顔を見てこのまま少し話すことにした。
なるべく負担を与えないように、
明るい話題を選びながら。

俺のくだらない話しで少しでも辛いときが忘れられれば……。
そう願うことにした。



……それからは、
しばらく俺の学校の話題で盛り上がった。
俺自信、あまり話題が広いわけでは無いが、
今日あったことを話すと香澄は面白そうに笑ってくれた。