『あら、月くんと帰ってきたのね!

こんばんはぁ』





お母さんは月くんに、媚びたような声で挨拶を返した



そんなお母さんに細い目を向けていると



『南あんた!
こんなにカッコいい月くんをつかまえて帰ってくるなんてやるじゃなーい!』




そんなことを耳打ちしてきた



『さすが私の娘ね!』なんて、威張り散らしちゃって、本当、心底嫌になる




「お母さん、引き止めてたら月くんが中に入れないでしょ!」




暴走気味のお母さんにそう言って聞かせると、お母さんはキョトンとした表情をみせた




『あら、言ってなかったっけ?

今日星さん達、両方仕事場に泊まり込みだから

月くんはウチで預かることになってるのよ』




「『は!?』」



さらっと重要なことを言ってのけるお母さんに、私と月くんは目を丸くさせ、同時に叫ぶ





『その反応からすると、月くんも聞いてなかったのねぇ』




『いや、だって俺……
ずっと一人だとばかり……』




『いつも一人で月くんがさみしいだろうからって、星さん達が気をきかせてくれたのよ


幸い明日は土曜だし、泊まっていってね?


私は買い物に行くからまた

南、月くんをお願いね』




「ちょッ、お母さん!」




言いたいことだけ言って、スタコラと逃げていったお母さんを恨めしく思いながらも、二人取り残された私達は、顔を見合わせた




『なんか、ゴメンな
ウチの馬鹿親が……』



申し訳なさそうにする月くんに、私は反抗していたことに罪悪感を感じた