「おいっ!待ってって!!」

遊園地の出口の近くで、悠兄に追いつかれた。
振り向きはしない。
背中に、意識を集中させる。

「どうしたんだよ!?今日の雅樹変だぞ!?」

怒っている声でなかった。
俺のことを、本当に心配している声だ。

「沙菜も心配してる。…戻ろう…な?」

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい

どうせ見せつけられるんだ
どうせ・・・一人を実感することになるんだ

「理由なら、ちゃんと聞くから…こんな子供みたいなワガママ、雅樹らしくねぇよ。」

黙っている俺に対し、冷静に対応する悠兄。
俺よりも落ち着いていて、大人な態度、昔は憧れだったのに。

「…悠兄にわかるわけないよ。欲しいもの手に入れてんだから。」
「…何のことだよ。」

もう全部・・・壊してしまえ。
3人なんていらねぇ。

「沙菜と付き合ったけど、告られてたって言ってた、仲良しグループの子は?どうなったんだよ。あんなに愛しそうな顔しててさ…。沙菜のこと、本気じゃねぇなら別れろよ!!」

最後は怒りに任せて怒鳴った。
肩が震える。
悠兄とこんな風に話すのは、初めてだった。

遊園地に似合わない雰囲気の、俺ら二人を周囲は横目で見ながら、歩み続けている。