四月───

直哉やタケ・・・友達が大学生になった。
「ホストみたいだろ♪」と直哉から来た写メは、スーツで決め顔をしている直哉。
・・・スーツに着られてる感たっぷりだったのは言わないであげた。

言っていた通り、悠兄が一人暮らしするために、マンションから引っ越していった。
引っ越しの日の朝、俺のところに来てくれた。
「遊びにこい!」
っと、住所を教えてくれたけど・・・
「行かない。」
って答えた。

俺から悠兄に会いに行くのは大学生になったら。
そう伝えたら、笑って「待ってる」って言ってくれた。

悠兄と並べるようになるまで、自分からは会いに行かない。
きっと俺のことをわかってる悠兄は、俺が行くまでもう会いに来ない。
そんな気がした。


俺は予備校に通い始めた。
同じようにK大を目指す人もいて、新しい友達ができた。

朝から晩まで勉強。
それでも足りない気がしてならなかった。
一年で受かるんだ。
そればかりが頭を巡る。


沙菜とは───

卒業式の日から話していない。

一度、予備校に行こうと家を出た時に、バッタリと沙菜に会った。

お互いに視線をそらし、俺はエレベーターを使わずに階段を使ってゆっくりと降りた。
少しの時間でも二人きりは耐えられない気がしたからだ。

制服じゃなく、私服で登校する沙菜。
大人っぽく感じて、沙菜にも置いていかれる・・・そんな気分になってしまった。