愛しいキミへ

二週間後──
三月も終わりに近づき、卒業式の時は蕾だった桜が少しづつ花びらを広げている。
ポカポカと暖かな日は勉強を投げ出して、外へ散歩をしたくなってしまう。

そんな春の日に俺は駅前のカフェに向かっていた。

「…ここだよな。」

駅前にある小さなカフェ。
可愛らしい雰囲気に入るのを少しためらう。
でも待ち合わせをしているため、ゆっくりと扉を開けた。

店内に入りキョロキョロと見渡す。
すると奥の席で手を振って俺を呼ぶ姿が見えた。
声をかけにきた店員に「待ち合わせ」と言い、奥の席へと向かう。

「ごめん。遅くなった。待った?」
「全然待ってないよ。来てくれてありがとう。」

待ち合わせ相手・・・由香利は顔を横に振り、笑顔を俺に向けてくれた。
卒業式あとから連絡をとってはいたが、なかなか時間が合わず、今日やっと会うことが出来た。

由香利と最後に会ったのは去年の6月。
久しぶりに会った由香利は、髪が伸びて、大人っぽくなっていた。
早くから来ていたのか、由香利の前には飲みかけのアイスティーと水滴がグラスにたくさんついた水があった。

「あっ…アイスコーヒーお願いします。このカフェ初めて入ったよ。…由香利はよく来るの?」
「実は私も初めてなの。雅樹くんと来てみたいって思ってたから、今日ここにしてみたんだ。」

アイスコーヒーを注文して由香利と話始める。
久しぶりなのに由香利が笑顔で話してくれるから、緊張することなく会話が出来た。

「タケくんに聞いたんだけど、雅樹くんは浪人するんだって?」
「あいつ話したのか…。そう、まだしばらくは勉強漬け。由香利はどうだったの?」
「第一希望はダメだったんだけど…一応受かりました♪」
「そうなんだ。おめでとう。」

タケには浪人することを話していた。
他にも色々と・・・俺にあった出来事を話してある。
ちなみにタケも大学に無事合格していた。

注文していたアイスコーヒーがきて、会話が少し止まる。
ガムシロップだけ入れて、一口飲んだ。

「…今日は聞いて欲しい話があるの。」

会話が途切れ、由香利が話を変える。
今日はただ話をしに来たんじゃない。
大切な話を、俺は聞きに来たんだ。