愛しいキミへ

しばらく話をした。
夢中で話していて、気がつけば日付が変わりかけていた。

「やべ…もうこんな時間か。長居して悪かったな。」
「いいよ。久しぶりに会えて嬉しかったし。」

悠兄は帰ろうとして立ち上がったが、何かに気づいてもう一度座った。

「どうしたの?」
「言おうと思ってたこと、言うの忘れてた!…俺、来月から一人暮らしすることになったから。」
「え!?おばさん達から許可でたの?」

去年、反対をされていたのを知っているから驚いた。

「一年バイトして金貯めて、ようやく説得出来た。雅樹には報告しておこうと思ってさ♪」
「そうなんだ~。じゃあ今以上に会わなくなるね…。」
「まぁ…遠くないし、遊びにこいよ!」

嬉しそうな悠兄になんだか寂しくなる。
会おうと思えば会える距離なのに・・・また追い付けない・・・そんな感じがした。
そして・・・一つ聞きたくなった。

「…沙菜は知ってるの?」

嬉しそうだった顔が、少しだけ揺らいだ。
悠兄がこのマンションを出れば、きっと寂しがる。
別れても、沙菜の気持ちを考えてしまうのが、今はとても歯痒い・・・。

「…言ってない。でも、俺の親から伝わると思うよ。」
「そっか…。マンション出る前に、悠兄から言ってあげたら?寂しがるよ。」

少し無言になって考えた。

「…あぁ。そうする。」

いまだに二人は距離を取っている。
・・・二人と言うより、沙菜が悠兄に会わないようにしているが正しいかな。

もし悠兄が連絡したことで、沙菜の気持ちが決まって、また悠兄と付き合ったら──

そう考えてズキッと胸が痛んだ。