愛しいキミへ

「もう…限界だ…。」
「……雅樹?」

不安そうな・・・悲しそうな・・・そんな顔をした沙菜。
今までだったら、すぐに笑顔にしたくなってた。

でも・・・
もうそんなこと考えられないほど、俺の心は限界だった。

「…もう…一緒にいたくない。もう沙菜の気持ちを全部受け止められない。」

痛む心を冷たい雪が冷やしていく気がした。
心も体も思考も・・・すべてが冷たくなっていた。

「別れよう。沙菜…。」

感情なく伝えた言葉。
まさか自分から沙菜に別れを言う日が来るなんて──

目を見開いて驚く沙菜。
手元が震えている気がするけど、きっと寒さのせいだと思い込む。

「待って…雅樹…。ごめん…ごめんね…。」

沙菜は俺に近づき、俺の腕を掴んだ。
すがるような顔。
そんな沙菜を見て、俺の目から一筋の涙がこぼれた・・・。

「好きだよ。沙菜。…だから…もう別れたいんだ。」
「雅樹…。」
「好きだから…他の誰かを想う沙菜と一緒にいたくない…!!」

もう傷つきたくない。
もうこれ以上、悲しい想いなんてしたくない。

腕を掴む手を、無理矢理はずす。
そのまま沙菜を優しく抱きしめた。