僕ときみ


 僕はまた椅子にダルんと
 座り込む。

 そんな僕の前にあの人が
 しゃがみこむ。

 なんだろ。


 あの人は僕の手を握った。

 生きろ。

 ただそれだけ言うと
 仕事に向かう、と言った。


 仕事に逃げるのか、
 と思ったけど

 仕事に行けるのは

 あの人の強さなんだ。


 生きろ。

 ただ一言なのに
 あたまにひびいた。心にひびいた。


 聞こえないはずの声がする。

 なに泣いてるの?

 体中がしびれてく。

 もう、ちぎれてしまいそう。

 きみのしぐさ、口癖
 忘れたくないんだ。

 明日の朝にはもう、
 いないんだね?


 涙が溢れた。

 足をひきずり家に向かう。


 誰もいない。

 まっくらな家。

 きみの、いない、家。


 きみは本当に居ないのかな。

 扉を開けたら

 ドッキリだよ!!!

 って立ってないかな。




 いろんなことを考えて
 ドアをあけた。

 そこにあったのは
 まっくらな、静かな、
 さびしい家。


 これは、現実、なんだ。