欲しいのは…




『――…っ』


「確かに結婚の金貯めるために、仕事は他の奴らより何倍も忙しかった。
そのせいで由紀に構ってやれなかったのも事実。

それで由紀を追い詰めちまったんだけどな」



そう言ってまた、悠は切なそうな顔をした。


そしてあたしを抱きしめていた腕にも力が入った。




「だけど――。やっと結婚ができるくらいにまで貯まったんだ。


それなのに、いなくなるなんて言うな――…」





これは、現実―――?




それとも、夢―――?




あたしはどっちを信じればいいの――?




どっちが正しいの――?


ねぇ、神様――…




「…結婚したら余裕ができる。それまで、傍にいてくれないか?もちろん、これからも」




わからない


あたしはどっちに行くべきなのか…




でも、もういい。




あたしは究極のバカかもしれないから。