「……なに?なんで抵抗すんの」
『……』
「アイツ、誰?」
『助けてもらっただけ……』
「アイツのこと、好きなわけ?」
その言葉とともに、握られていた手に力が入る。
「なんか言えよ」
『違うってば…!助けてもらっただけって言ってるじゃん…っ』
冷静すぎる悠にイライラして、つい声を荒げてしまう。
なんてあたしばっかり責められなきゃいけないの?
あたしは、何にもしてないんだよ?
悪いのは全部、悠なんだよ?
悠が浮気なんてしたから、こんなことになってるんだよ?
あたし、ばっかり……
「なんで、泣くわけ?」
そしてこんなにも、冷酷で皮肉なことを言ってくるんだ。