『…離してください』


「俺無視するとかいい度胸してんじゃん?なぁ姉ちゃん?」



今のあたしはこんな人を相手にしてられる程、話す余裕なんてなかった。

だからって言い返す気力も、もうなかった。



『……離して』


「まだ歯向かうつもりかよ。まぁいい、気ぃ強い奴は好みだしな」



そう言うと、このチャラ男はあたしの腕を掴んでホテル街の方に足を向けた。



もう…どうでもいっか…


どうせ泊まるとこなんてなかったんだし、
この人とヤるくらいでホテル代のお金が浮くんなら安いものよね。



どうせ…


悠と同じなんだから…