【長編】Lover only of name[おまけ追加]

「わりぃな。」


「大丈夫だけど....」


「あのさ。
榊は、中畑とつきあってるんだよな?」


確認するように佐倉くんが聞いた。


「うん。
どうかした?」


「俺さ。
榊が好きだ。
好きだから、中畑が許せない。」


「えっ?」


まさかの告白。


まさかってほどじゃないか....


けど....


佐倉くんってのがね。


意外だった。


困った。


どうしたら、うまく切り抜けれるだろう。


「考えて。
中畑といるのつらくなった俺のとこきて。」


佐倉くんは、雄一の代わりでもいいみたいに言う。


けど....



「ごめんね。
それは、ないよ。
私は、雄一が好きだし。
周りからどう見られようと関係ない。」


私、知ってる。


周りがなにを言ってるか。


“名ばかりの彼女”


わかってる。


なんとなくいる感じだって。


じゃなきゃ、彼女がいて女の子と一緒に帰ったり怪しい行動しないよ。


「そっか。
でも、忘れないで。
俺が榊を好きだって。」


佐倉くんは、つらそうだった。


けど、どうしようもないこと。


「ありがとう。
わかってるよ。
雄一より佐倉くんみたいな人の方が一般的に幸せにはなれるって。
けどね。
それでも、雄一が好きだから。」



私は、素直に言った。


「わかった。
聞いてくれてありがとう。」


佐倉くんは、最後は笑顔を見せてくれた。


ただ、思った。


佐倉くんに言った通りなのだろうか。


私は、雄一を好き。


けど....


雄一は、誰を好き?


佐倉くんの告白で何かが変わりそうな予感がした。