「じゃあ、まあ明日な!」



そう言い残し、一星は病室に戻った。



帰ろうとした時、病室から一星の声が聞こえた。



「今日の写真、貼っとくな。今日のは格別だろー。夕焼けだぜー!」



1人で、明るく振る舞う一星。



誰も、言葉を返さない。



病室に貼られた、沢山の写真はきっと一星が、お父さんが入院した時から毎日持っていっているものだろう。



何年、1人で耐えてきたんだろう。



家に帰っても、1人なのかな?



1人で明るくしてるのかな?



悩みなんてなさそうと思っていた自分に腹が立った。


好きだと言う自分の気持ちが、どれだけ上辺の気持ちなのか思い知らされた。



今まで、普通に生きてきた。



何にも執着しなかった。



恋だって、失恋しても数日経てば笑えたー。



だから、今回だって大丈夫ー。



そう言い聞かせ、走って病院を出た。