瑞己が私を見つめる。
今までに見たことない、優しい顔。
そして、甘い声。

耳の奥がくすぐったい。


「母さんのためだよ。」


そんな顔で、私を見るなんて…。
顔が熱くなるのを感じた。


「え…?それってどういう…。」

「電車来たよ。早く乗ろう。」


瑞己の言葉で遮られた。


大学に着くまで、私のドキドキは治まらなかった。