瑞己はゆっくりと、歩道橋の下に来てくれた。



そこには、くしゃくしゃの優しい笑顔。
たまらなく愛しいって思える。

早く、瑞己のそばに行きたいよ。


あれ?
この笑顔って…、誰かに似てる…。




「ゴメンね、瑞己。」



私、ちゃんと謝りたい。
そして、ありがとうって言いたい。



階段を下りようとしたトキ、後ろから走ってきた男の人にぶつかられた。


バランスを崩した私は、手すりに手を伸ばしたが、掴み損ねてしまった。


落ちちゃう…!!




「里緒…っ、母さんっ!!」


瑞己が私を呼ぶ。


もう瑞己ってば、そんなに大きい声で“母さん”なんて呼んだらダメじゃん。

後で、瑞己にちゃんと言わないと…。