「つ、着いた…。」


慣れない運転で、もうヘロヘロな私。
ぐったりしている私に向かって瑞己の一言。


「やれば出来んじゃん。」


ムキぃ―――!!
それだけかよ!?
“お疲れ”とか、“ありがとな”とかはないの?



目の前にある旅館の立派さに驚いた。

どっしりとした門構え。和風感たっぷりなんだけど、少し西洋な感じもあって。
なんか、大正ロマンって感じがする。


こんなステキな旅館に泊まれるなんて、夢みたい。

神経すり減らして運転したかいがあったわ。



チェックインするため、私達5人は旅館の中に入った。



入った瞬間、まるで森の中に迷い込んだみたい。

木のぬくもりが溢れている。



天井も高く開放的で、知らないうちにつぶやいていた。


「たっかーい…。」

「この天井の造りは、うちの旅館の売りの1つなんですよ。最も格式高い『格天井』様式で、有名なお寺や神社、あとはお城の天井とかに用いられてます。客室もすべてこの造りになっていますので、楽しみにして下さいね。」


対応してくれた仲居さんが丁寧に教えてくれた。


今からお部屋に行くのが楽しみ。