ゆっくりと私のほうを向き、席から立ち上がり、ペコリと頭を下げた。


「悠斗先輩来なかった?」って聞こうと思ったけど、口を噤んだ。

光莉ちゃんは悠斗先輩の彼女で、そんなコト聞いたら無神経すぎるよね。
彼氏が他の女の子と2人っきりで会ってたら、普通嫌だよね…。




「悠斗は、来ません。」

私の思ってたコトが分かったのか、光莉ちゃんから出た言葉。



「こんなコトして、スミマセン。あたしが悠斗に頼んだんです。ちゃんと里緒先輩と話したいって。」

「私と…?」


コクンと光莉ちゃんは頷くと、もう1度窓の外を見た。



「ここから、悠斗が帰っていくの見てました。空を見上げながら歩いてて。振り向かなかったけど、右手を挙げて手を振ってくれました。そんな悠斗の後ろ姿見て、あたし…とんでもないコトしちゃったんだなって…。」



光莉ちゃんは、もう1度私のほうを見た。
あのトキの大学で会った光莉ちゃんとは、別人のよう。

話したいとは思っていたけれど正直な話、光莉ちゃんとまた話せるなんて、思わなかった…。