「学校が絶対に閉まってるって分かってるのに、それでも悠斗は走って学校に戻ったの。バカみたいに息切らせて、冬なのに汗だくになって…。

里緒先輩のコトしか考えてなくて…。あたしが後ろからつけてるのも気づかないんだもん…。」



光莉ちゃんの声が、だんだん涙声になってくるのが分かった。



「えっと…。」

なんて声かければいいんだろ。


「里緒先輩はずるい。自分では何の努力もしてないのに愛されてて。いっつも受け身で、うじうじしていて。悠斗にはっきり、何で来なかったの!?って聞けば、こんな嘘すぐに分かったのに!!」


あの真っ直ぐな目で私を見る。
光莉ちゃんの目からは、大粒の涙がポロポロとこぼれている。



「あのトキだってそう。あたしだって、悠斗の隣で写真撮りたかった。なのに、なんで当たり前のように悠斗の隣にいるの?

ずっと…、ずっと里緒先輩が嫌いだった。大っ嫌い!!。いなければいいって、いつも思ってた。だから盗ってやったのよ。あたしのほうが悠斗のコト好きな気持ち強いんだから!!」


吐き捨てるように言うと、私に小さく丸めた紙を投げつけ行ってしまった。

光莉ちゃんの姿が見えなくなり、ようやく身体が動いた。


私の足元に落ちた小さな紙を拾い、広げてみる。

それは、あのトキの写真だった。