「あたし、知ってました。里緒先輩がバレンタインの日に告白しようとしてたコト。悠斗の返事も分かってた。里緒先輩から、“教室で待ってる”って言われたトキの悠斗の顔、今でもはっきり覚えてる。あの顔見て思ってんです。悠斗を誰にも取られたくない…。どんなコトしても、あたしのモノにするって。」



私を前にして、淡々と喋る。


目の前にいる、この子は誰?
とても冷たい瞳。

本当に光莉ちゃんなの?



「あの日、あたしが言ったコト覚えてます?」


あの日。
私が高2のバレンタインの日。

光莉ちゃんが私に言ったコト?

片隅に押しやった、あの日の記憶。

私はゆっくりと思い出す。



「“図書室で待ってるから”って、伝言頼まれたって…。」

「なんだ、覚えてるんだ。」


クスクス笑い出す。


「あれ、嘘ですよ。悠斗があたしなんかに、そんな大事な伝言頼むワケないじゃん。もっと人を疑ったほうがいいですよ。」


貧血みたいな感じ?
目の前が真っ白になって、立っていられない。

あの伝言が嘘って、どういうコト?