アイスティーを飲んでいた紗英さんが、突然笑い出した。


「どうしたんですか?」

「今、会計している子達の会話が聞こえたの。」

「面白い話でもしてたんですか?」


くくく…と笑ったままで、紗英さんはなかなか答えない。




「美男美女のカップルだねって。」


ぶっ。
聴いた瞬間、飲んでいたアイスカフェオレでむせそうになった。


「ケホッ。カップルって…。」

「明仁と一緒にいても、そんなコト言われたことなかったから。同い年なのに、こうも違うとはねぇって思ったら、可笑しくって。」



そう言うと、今度は紗英さんがじーっと俺を見る。
あからさまに、女の人に見つめられるコトなんて慣れてないから、友達の彼女とはいえ、なんだか照れてしまう。


「顔になんか付いてます?」

「ううん。大人っぽいなぁって思って。」

「俺、老けてます?」

「そうじゃなくって、落ち着いてるっていう良い意味よ。でも、もうちょっとバカになったほうが、モテると思うな。」

「それって、明仁くらいですか?」

「あれはいき過ぎ。」


紗英さんが即答で答え、俺達は笑いあった。