部屋の中には、古いテーブルと椅子、そして窓際にベッドがある。
テーブルの上には、古いランプが置かれていた。

ベッドとは反対側の壁には、レンガを積んで作った小さな暖炉が配置され、その上がオーブンになっていた。

「宇宙ネコは
 こんな寂しい所に5年も住んでいたのか」

宇宙ネコは、多分もうここには戻らないだろうけど、
私は入り口の扉をしっかりと閉めた。

雑貨屋の前を通り過ぎると主人が走って出てきた。

「あんた!
 宇宙ネコがいなくなったみたいなんだが
 知ってるかい?」

「えぇ、
 私のうちにいますよ」

「ほぉ~
 不思議な事もあるもんだなぁ、
 散々こっちに住んだらって皆で誘ってたんだがね

 何か理由があるとかで、
 あそこを離れようとしなかったんだよ」

「あぁ、
 工場の人に言われてたからだそうですよ
 そこにいろってね」

「そうなのかい?
 工場にはもう誰もいなかったのにねぇ」

「宇宙ネコは、
 誰もいない事をずっと知らなかったみたいですよ」


「じゃぁ・・
 何年も不必要な言い付けを守ってたのかい?
 かわいそうになぁ」

「しかし、
 なぜずっと居ろなんて言われたんでしょうね?」

「さぁねぇ~、
 あの工場が何だったのかすらわからんしなぁ
 やっぱり、関係者に聞くしかないだろうね」