コバルトは、ココロがこの星に持ち込んだものと言うことが判った。

そして今もコバルトが存在していると言う事は、ココロはあの星へ降り立つ以前から持っていたものとも考えられる。
そうでなくては、この胸騒ぎが治まる気がしなかった。

ボクは、胸のつかえが無くなり気楽そうにしている工場長に、ココロがこの星に来た当時の事を聞いた。

「工場長、ココロがこの星に来た頃の事
 覚えている事を教えてもらえますか?」

「それはいいが、
 私があの工場に派遣されたのは8年程前でね…

 博士はそれ以前に
 既にココロちゃんを見つけていたのは聞いているかい?」

「えぇ、もちろん聞いてます
 工場長が知ってる情報も聞きたいので」

「わかった
 ココロちゃんが最初に来たときの事かぁ
 本当にビックリしたよ
 あの星は、生物が存在しない星にしか見えなかったからね」

「そうらしいですね
 ただ建物だけが存在していたとか」

工場長は頷き話を続けた。

「あの星にはココロちゃん以外、生命は存在していなかったよ
 ただ誰も居ない建物だけがあって
 そこら中に、蛍の様な光が飛んでいたんだ」

ボクはその様子を想像した。
他に誰もいない世界になってしまったあの星で、ココロは何を思っていたのだろう。
少なくとも、とてつもない孤独感を感じていたのは間違いないだろうな。
ボクはいつの間にかココロの手を握っていた。