ボク達の乗った宇宙船<希望の魚>は、歯車市の駅を大きく一回りして宇宙船の工場へと戻った。

その途中ネルビーが、工場とあの箱を使って通信していた為か、
工場に戻る頃、工員達が建物の外から出て迎えてくれた。
彼らもやっぱり、自分達で作った宇宙船が飛んだのがうれしいのだろう。

「操縦はもうバッチリだね
 後は、彼らにバトンタッチしようか」

工員達も待ちかねていた様で、早速作業にかかった。
博士とネルビーは、丁度今駆けつけたばかりの、新聞社らしき集団から取材を受けている様だった。
前もって連絡しないでおくのは、いきなり驚かせたいからなんだろう、これは博士らしいな。
大学に戻るのは、あの取材が終わってからになりそうだ。

「そういえば、
 グレサトが何の作業をするのかって、まだ確かめてなかったっけね」

『うん、仕上げ!
 何するんだろうね~』

ボク達はグレサトの姿を探した。

『あ、いたよ』

ココロが指差した先には、たくさんの缶を台車に載せて運んでいるグレサトと、ここの工員達がいた。
その台車は、<希望の魚>の周辺に足場を作っている、集団の方に向かっていた。
足場の前に台車を停めると、次々と缶を開け始め大きなバケツに中身を入れている。
缶の中身はペンキの様だった。

「あっそっか!
 グレサト達はきっと
 この宇宙船に色を塗ろうとしてるんだよ」

『よかった~
 やっぱり色塗るんだね
 まっ白いお魚じゃなくて良かったの』

そう、今の<希望の魚>は魚らしい色はなく真っ白なのだ。
いくつもの色を塗るのだろう、グレサト達は何色もの色を混ぜて作っている。

足場はあっと言う間に組まれ、船体にはテープが貼られていった。
色を塗りたくない窓などに、ペンキがかからない様にマスキング処理を施す作業をしてる。
その傍らでグレサトが、工員たちに完成予想図らしい紙を見せながら説明していた。
近づけば完成予想がわかるけれど、ここは後のお楽しみにしておこう。

彼らの、目まぐるしい作業の様子見ているうちに、博士達の取材が終わった様だ。
後の作業は彼らにお願いして、ボク達は大学に戻った。