既に希望の魚にはシートがかかっておらず、その周りに何人かの工員がいた。

「やぁ博士、ご苦労さん」

「やぁ、お疲れ
 アレの調子はどうだい?」

「アレってあの箱かい?
 うん、なかなかいいね
 ほら、もう実験は終わってるよ」

工員と博士はあの箱の話をしていた、どうやらうまく行っているみたいだな。

「ネルビー、この板はこれでいいのかい?」

「あっ、ありがとう
 急でごめんね」

「なぁに、この位朝飯前さッ!
 じゃ、これで取り付けちゃうね」

別の工員がネルビーに話しかけていた、あの板は黒く塗られている。

そうか、この<希望の魚>って、結構大勢で作ってるんだな。
博士とネルビーが設計をして、それを実際に組み立てるのが彼らなのだと解った。

「ねぇ
 頼んでくれた?」

背後で声がして、ボクは振り返った。

「あ、グレサト
 旅館ねじの食事でしょ?頼んどいたよ」

「やったッ!
 よっし、仕上げ頑張らなきゃね~!」

『楽しみなの
 仕上げ頑張るの』

グレサトの服装は、工員達と同じツナギだった。
もしかして、彼女も何か作業するのかな?

「よし、じゃぁみんな集まってくれ」

博士がボク達に集合をかけた。

「今から<希望の魚>の飛行実験をする訳なんだけど
 見ての通り仕上げが押してる状態でね

 昼休みまでしか動かせられないんだ
 まぁサクッとやっちゃおうかね」

仕上げという言葉がまた使われた。
スケジュールは聞いてなかったけど、結構締め切りが近いのかもしれないな。

ボク達は<希望の魚>に乗り込んだ。