次の日、ボク達が大学にある博士の研究室に到着すると、博士は工場長を呼んでるから夕方ここに来るだろうと言っていた。
その工場長には、ココロも会っているはずだ。
当時のココロを知る者の話はぜひ聞いておきたい。

今日は宇宙船<希望の魚>の試運転をするらしい、昨日の続きはその後に軽くすると言う事で、今日の日程は決定された。

試運転の操縦はボクがする訳だけど、初めてなのでうまく出来るかが少し心配だった。

<希望の魚>のある工場へは結構な距離がある為、汽車でもないととても行く事は出来ない。
なので、今回もネルビーが汽車を用意してくれている。

今日の汽車は、この間の不格好な汽車とは違って、真っ赤に塗られた格好いい形をした汽車だった。

「あれ?
 この間のと違う汽車だね」

『赤いね』

「これはね
 今度博士が発売する新型の汽車の試作品だよ
 まだ全部は完成してないけど宣伝の為にね」

「燃料を自動で供給する機械がまだなんだよ
 火を点けてすぐに動く様にも改良しなくちゃいけない
 まぁ今は宇宙船が先だから、実はちょっとお休みしてるんだけどね」

そっか、発明するにも色々とお金がかかるから、やっぱりこういう事もしないといけないんだな。
そう思うと、何となく博士とネルビーが健気に思えた。
赤い汽車は元気に汽笛を鳴らすと、ボク達を乗せて軽快に出発した。

「あ、今日はグレサトは来てないんだ」

ボクは旅館ねじのおかみさんに、グレサトの分の晩ご飯を頼んであるので困ったなと思った。

「あ…、いや
 実はもう先に行ってるんだ」

「グレサトくんは、あの宇宙船のデザイン担当だからね
 仕上げを指示してるんだよ」

「仕上げを?」

「うん
 まぁ…見ればわかるよきっと」

『仕上げってなんだろう?
 楽しみなの』

ボク達は宇宙船のある工場に到着した。