気を取り戻したココロを、ずっとボクは抱きしめて泣いていた。

「ココロ…大丈夫?
 ごめんね、ボクがあんな事言わなければ」

まだ目が少し虚ろな状態のココロの頭をそっとなでた時、一瞬蛍の様なものが光って飛んだような気がした。
辺りを見渡してみたけど、蛍みたいなものは見つからなかった。

「今…
 ココロから蛍みたいなものが飛びませんでした?」

「ん?
 いや、ずっと見てたけど気が付かなかったな」

「僕も見なかったな~
 蛍ってグレサトの服についてる奴?」

「あの蛍が来たらすぐわかるよ…
 だってほらッ!」

グレサトの服には、今日の実験でついたたくさんの青白い光がまだ光っていた。

──気のせいだったか

「ココロは一体何を見たんだろうなぁ…
 あの工場の記憶の何かに触れた様だったが」

その口調から、博士も少し責任を感じているのが伺えた。