気がつくと、空の色は色を失って灰色に変わっていた
辺りも色を失い薄暗い陰を落とし始めている

乾いた風が吹き、それは草を枯らして行った

見えている景色がちぎり取られていく様に消えてゆく

それと同時にわたしの記憶もちぎりとられていく

お願いもう消さないで

あぁ‥あの人の顔もちぎりとられて消えてゆく

ちぎりとられた部分は見る事さえ出来なくなり
そうなる前の記憶も思い出せない

そっか、わたしはまた一人きりになっていくんだな

その前もずっとずっと一人きりだった気がする
だからこれからもずっと‥やだな‥

違う、元から一人きりだったんだから悲しむ事なんてないんだ
それに一人でいれば二度と悲しむ事もないんだよ


わたしは、何も見ることが出来なくなった地の底で丸くなった

そうしないと不安で仕方がなかった

さっき何か大切なものを失った気がする、でも何も思い出せなかった