私は雑貨屋の主人の話を聞いて、あの宇宙ネコを私のオフィス…
兼自宅にしばらく住んでもおうと思った。

──試したい事がある

宇宙ネコにそう提案すると、なぜかすんなり聞き入れてくれた。
長く住んでいたあの家を、簡単に離れてくれるとは思わなかった。

『こんなちゃんとしたおうち!
 わたし初めて!』

「そうかい?
 キミの家は十分素敵じゃないか」

『そう思う?
 やっぱりぃ?』

宇宙ネコは嬉しそうに両手を口に合わせ、そして耳をくりんと回した

『でもね、でもね!
 あそこには居たくなかったの』

「ほぉ?
 それはどうしてだい?」

『みんながずっとね
 あそこにいろって言ったの』

「それは町の人かい?」

『違うの、
 工場の人が言ったの』

「あの工場はもう誰もいないよ?
 それなのにかい?」

『そうなの?
 知らないの!
 宇宙ネコは知らない事ばかりなの!』

宇宙ネコはきょとんとした表情をして、首をかしげた。

「じゃぁ、
 もうあそこに戻らなくても良さそうだね」

すると

宇宙ネコの表情は、いつもにも増して明るくなり、
唐突にくるくると踊りだした。

『ねぇ!踊ろう』

「あぁ、踊ろう!」

キミと私の世界が今はじまる。