海に行くと、ユッキーは変わる。


過去を思い返し、必死に話をするんだ。


だからアタシも、自然と過去を思い出してしまう。


“そんなことないよ。”

“あなたが悪いんじゃないよ。”


お互いに、そんな言葉を言い合いながら、慰め合っていたんだ。





都会に戻ると、何だか虚しくなった。

都会の匂い…
自然の匂いなんか、全くしなくて嫌になる。



「おはようございます」


「おっ、美優ちゃん、おはよう」


「あれ、アサミまだ?」


「今日は休むらしいよ。」



アサミが突然休むのは、別に珍しいことではない。

けれど…

今回は、連絡が入っていなかったので気になった。



「もしもし、アサミ?」


「おー美優。」


「どうしたの?」


「何かもう、行きたくない。」


「はぁ?」


「店長と気まずくて。」