記憶を持つ者


あぁ…魔王と言えども、ヒトの身体と何ら変わりはないんだ。


ドスッと鈍い感触に肌が粟立つのと同時に、ふとそう思っていた。何が起こったのかなんて、まだはっきりと分からなかったのだ。


「レン…!!!」


…夢、なのかな…?


「ッどうしたんだ、ユイ!?」


今、魔王を貫く刀を握っているのは、誰…?


赤いのは、誰の手―――?



私の、手…