一瞬だった。
魔王が躊躇いなく剣を振り下ろしたのも、
白牙が魔王の名を叫んだのも、
ヤイバが私を庇ったのも。
「ヤイ…バ…?」
ギュッと抱き締めてくる力は強いのに、何処か頼りなくて、大きな背中に腕を回そうと手を伸ばす。
「貴女が無事なら…私はどうなっても良い…」
伸ばしたのに、その腕は何も抱き締められなかった。代わりに、傷付いた刀が高い音をたてて地面に落ちる。
「ソレを拾え、ユイ。私が憎くはないのか?」
魔王の冷酷な声が、一瞬呆然とした私を一気に現実に引き戻した。
どうしたら良い…?
私は、悲しむ間も与えられないまま、刀を握り締める手に力を込めた。
魔王が躊躇いなく剣を振り下ろしたのも、
白牙が魔王の名を叫んだのも、
ヤイバが私を庇ったのも。
「ヤイ…バ…?」
ギュッと抱き締めてくる力は強いのに、何処か頼りなくて、大きな背中に腕を回そうと手を伸ばす。
「貴女が無事なら…私はどうなっても良い…」
伸ばしたのに、その腕は何も抱き締められなかった。代わりに、傷付いた刀が高い音をたてて地面に落ちる。
「ソレを拾え、ユイ。私が憎くはないのか?」
魔王の冷酷な声が、一瞬呆然とした私を一気に現実に引き戻した。
どうしたら良い…?
私は、悲しむ間も与えられないまま、刀を握り締める手に力を込めた。


