記憶を持つ者


「な・にを…」


「寝過ごすとは、なかなか良い度胸だ。私もナメられたものだな。」


「あ、貴方は…私と戦って、どうしたいんですか?」


「―――黙れ。たかが小娘に何が分かる…」


鋭い刃よりもさらにキツい眼光。身体を動かせずにただ睨み返す私の眼には、それが泣きそうにも映った。

だから、ゆっくりと軌跡を描いて振り上げられた剣でさえも、
ただただ、目で追って…




「―――大・丈夫、ですか?」




追って…―――