記憶を持つ者

だから、本当に、何も教えてあげられない。


神々に対する誤解も、
そして何より、

自分が刀を主体とした神であるという事も。


隠していかなければならないだろう。それがユイの為にもなるのだから。


式神として姿を与えられた以上、式として、ユイを守る。

それが、ヤイバの誓い。

生まれた時から、ずっと見守ってきたのだ。大事に思わないわけがない。

式神として一人の側に居る事で、もしも天界での地位を剥奪されたとしても、構わない。


「私は、貴女を守る為にあるのだから。」


新しい一日の始まりを告げる鐘の音が外から響く中、ヤイバは、きつく目を閉じたのだった。