記憶を持つ者

「あなたが…?」


魔王の言っていた、縁(えにし)を断ち切るモノ。それがこの太刀なのだろうか。

だが、彼は私を、断ち切るモノを造れる存在だ。と言ったはず。名を口にしただけで造れる程、力があるわけではない。ならば、どういう事なのだろうか…?


「あなたが、“縁を断ち切るモノ”なの?」


―――違ウ。ソレハ、貴女ガ造ルモノ。私ニハマダ、断チ切ル力ハ、アリマセン。


「え?」


―――私ヲ使イ、式神ヲ。


―――貴女ニシカ出来ナイ事デス。

迷う暇も、理由も、ない。
やらなければならない。

そう、不思議な程に強く思った。

「…分かった。」