白牙の催促から、魔王が答えるまで。
私はずっと、自分の心音を聞いていた。
静かすぎる廊下は嫌でも緊張を高め、時間感覚を狂わせる。束の間の沈黙は、永遠に続くのかと思った。
「――ただ、傷つきたい。それだけだ。」
「“傷つきたい”…?」
「あぁ。傷を負いたい、と言った方が良かったか。
私には、ユイが必要なのだ。“断ち切るモノ”を創る事ができる存在が、な。
かつて、記憶を持つ者は、縁を断ち切る力があった。
転生後はその力も弱くなったようで諦めていたのだが…そんな事はなかった。」
私はずっと、自分の心音を聞いていた。
静かすぎる廊下は嫌でも緊張を高め、時間感覚を狂わせる。束の間の沈黙は、永遠に続くのかと思った。
「――ただ、傷つきたい。それだけだ。」
「“傷つきたい”…?」
「あぁ。傷を負いたい、と言った方が良かったか。
私には、ユイが必要なのだ。“断ち切るモノ”を創る事ができる存在が、な。
かつて、記憶を持つ者は、縁を断ち切る力があった。
転生後はその力も弱くなったようで諦めていたのだが…そんな事はなかった。」


