「ユイ。お前に課された運命は、想像以上に過酷なものだ。
だが、決して投げ捨てるな。
乗り越える姿を、私にみせてほしい。」
言葉に詰まった私に、魔王は、願うようにそう言ったのだった。
「私は、抗えなかった。だから…私では成し遂げられなかった事を、どうか…。」
「!?」
ゆっくりと、片膝を折り、ひざまずく。
彼が身に着けているマントが、フワリと床に広がる。
肩から長い髪が滑り落ちる。
―――そんな絵のように美しい姿に息を飲んだ。
けれど、魔王がひざまずくなど有り得ない事なのでは…と思い至り、頭を下げる彼に向かって、
「頭を上げて下さい!」
と叫んだ。


