記憶を持つ者

二人が至近距離で向かい合うと、魔王がかなり長身だった事が分かる。

背に流れた漆黒の髪は、思いがけず長くて、腰くらいには余裕で達していた。

割とイメージ通りの服装―――黒ずくめで、長いマントのようなものを羽織っている、という姿以外は、

イメージと違う。


改めてそう思ったは良いが、そんな風に現実逃避している場合ではない。

あの二人をどうにかしなければ…。


魔王がゆっくり左手を上げる。

そして―――