記憶を持つ者

ガチャと扉が開き、魔王が再び姿を現した。

ベッドに座っていた私はさすがに行儀が悪いと思い、立ち上がったが、座るように促される。


「ユイ。白牙に話は聞いたか?」


色々な話を聞いたため、何の話についてか迷ったけど、一応、はいと返事をした。

魔王は私が座っている隣りに腰掛け、固まった私やニコル、ニカルを気にせず、話始めた。


「私が思うに、まだ自力で命を護る程の力や経験がないのだから、安全な場所に居るのが良いだろう。」


低い声は、近くで聞くとさらに威圧感がある。
なのに、もう彼を怖いとは思わなかった。


どうしてだろう…。