【短編】また…いつの日か





今までは、キスひとつがこんなに大切な物だなんて思ってなかった。



だけど今は、一緒にいれることがかけがえの無い、大切な事だってわかるから…




「さっき何か言おうとしてませんでした?」


駿はキスを止めて、聞いてきた。



「駿…ごめん……」


「え…何がですか?」


「2ヶ月…あと2ヶ月だけ時間ちょうだい?」


「何のこと言ってるんですか?」



駿の問いに答えず、あたしは笑顔で言った。


「どっか行こっか!」



いざ言うとなると寂しさと不安が込み上げてきて、ちゃんと言えなかった。


2ヶ月後に別れて




結構、自分勝手だよね…

お礼なんて言って、結局は駿と離れたくないだけ。




いつの間にこんなに駿が好きになってたんだろう…


あと2ヶ月で、ちゃんと心に駿の事、焼き付けるから…

もうちょうっと待っててね…




「え、ちょっと奈津!?」


鞄を持って玄関に向かうあたしに、駿は慌てて着いてきた。



「駿、車?」



「そうですけど…?」