【短編】また…いつの日か






「おはよーございます!」


そう言って、駿は部屋に入って来た。



朝からハイテンションな駿とは反対に、あたしは落ち着かない…



「久しぶりっすね、こうやって2人で過ごすの…」


「うん…」



そして、もしかしたら…最後かもしれない……




「なんか元気ないですよ?」


「あのさ…」


うつむいていた顔を上げると、そこには「ん?」ってのぞき込む、駿の顔…




いきなり目の前にあった顔にびっくりして、気が抜けてしまった。



駿の整った顔…

思わず見とれてしまう。


すると、ゆっくりと駿の顔が近づいてきた。



ゆっくりと重なる唇…


こんなにゆっくりしたのは何ヶ月ぶりだろう…



たまに会社で給湯室で物陰に隠れてしたりはするけど、それも一瞬だけ。




一度離れた唇は、角度を変えてもう一度降って来た。



何度も何度も降ってくるキスの合間に、「奈津…大好き」ってかすれた声で囁かれた…


いつもなら、「あたしも」って返すんだけど、今日は言えなかった。

言わなかった。



だけど心の中で精一杯伝えるから…