そして放課後になったので栗須は香に声をかけた…

「香?家まで送って行くよ」

香は栗須のオープンさに圧倒されていた…

「うん」

クラスの皆は何も言わないでただ二人を見ていたが、純也は気に入らなかった…

「香?ちょっと話がある」

すると栗須は慌てて二人の邪魔をした…

「悪いけど香は今から急いで家に帰らないといけないんだよ」

純也は諦めて教室を出て行った。栗須は早く香と二人っきりになりたかったので、香の手を繋いで歩きだした。そして学園の駐車場に止まっている栗須の高級車に香を助手席に乗せて、自分も運転席に座り運転をした…

「香?今からデートしような」

「えっ!今から?」

「そうだよ、1回もデートをした事がないだろう」

「うん、嬉しいよ」

香はとっても嬉しかった。だって香と栗須にはいい思い出が1つも無いからだった…

「ねぇ~栗須先生?」

「何かなぁ?」

「何でもない」

「変な香りだなぁ」

栗須は上機嫌だった。学園には栗須と香の本当の関係を知っている人が居ないから、安心して従妹って言えるからだった。

「これからは誰にも遠慮しなくてもいいな」

「はい」

「香?今から家に電話してお泊りするって言ってくれない?」

「と、と、泊まりって…冗談だよね?」

「本気だよ!ずーっと会えなかった分を取り戻すんだから」

そう言って栗須は運転をしながら高級ホテルに向かった。その間、香は母に電話をして友達の家に泊まるって事を言った…

「香?ゴメンな、教員の俺が嘘をつかせてしまって…」

「いいよ」

「でも、俺はいつかは香の両親に挨拶に行くからな」

「そんな事を考えてたの?」

「そうだよ、前の学園の頃からな」

「ありがとう」

「そろそろ、俺の本当の名前を言わないとな」

「本当の名前?」

「そうだよ」

香は栗須の言ってる事が理解できなかった。でも栗須の顔を見ると何だかスッキリした様子だった…

「なんだろう?本当の名前って…」

栗須は香を見て微笑んでいた…