「いや…今のはですね…はい…なかったことに…」

「聞こえない」

そういって悪魔は目を閉じた。

聞こえないわけないでしょ。


…私からのキスを待っているのか?

よくわからず放置していると「早くしろ」と悪魔がつぶやいた。


やっぱりキスを待ってるんだ!

無理だよ!

だって付き合ってもないしここ学校だし…。

なによりファーストキスが悪魔となんて絶対いや!!


「誰が悪魔だ。早くしろ。さもないと…」

ひぃっ!

また知らないうちに声に出してたみたいで悪魔はかなりご立腹。


立ち上がって私の方へ歩いてくるといきなり私の頭をつかんだ。

そしてそのまま悪魔は顔を近づける。


まさか…キスされる!?







「麗奈〜!!」

唇があと2.3センチ…というところで教室のドアが勢いよく開いた。

そのすきにパッと先生から離れる。


た…助かった…。

よくわからないけれど私の心臓はバクバクしていた。


ドアの方を見るとそこにいるのは隼人だった。

「…まだ補習だったんだ。先生 補習何時に終わりますか?」

隼人が平岡先生にたずねると

「…もう帰っていいですよ 高橋さん」

と先生は猫かぶりスマイルをして答えた。


…さすが悪魔。

さっきまでのSっ気が全然感じられない。


「じゃあ帰ろ!」

そう隼人が言ってきたので私は急いでかばんに教科書や筆記用具を入れた。


そして先生に一言告げ教室を出た。