「もぉぉぉっ!なんでよ!なんであたし、こんなについてないのよ!先輩!先輩のこと、好きなのに!」

 もう、やけくそでわめく。

 「木村先輩!助けてよぉ」
 「ん?誰か呼んだか…ってお前そんなとこで何してんだよ?!」
 「先輩…!」


 「大丈夫か?」
 「あ、はい。大丈夫です」
 「ったく。何やってたんだよあんなとこで」
 「挑戦…です」
 「挑戦?なんだそりゃ」

 たまたま通りかかった先輩の協力で歩道に助け出された私は、恥ずかしさで顔も上げられないでいる。
 なんだか涙が出てきた。
 
 「ん?どうした?あ…ごめん、べ、別にばかにしたわけじゃないからな?な、泣くなよ、どうしたんだよ」

 いきなり泣き出した私を覗き込んで、先輩はおろおろと困り果ててる。

 「あ、いや、違うんです…私、雪、解けて欲しくないんです」
 「へ?雪?」

 私のわけのわからない言葉に、先輩が不思議そうな顔してる。
 私も自分がなにを言おうとしてるのかよくわからないまま、口だけがどんどん動いていった。