僕は君の名前も好きだった。
ママが『まな』って呼ぶとあの無邪気な笑顔を見られるから。


そして、いつのまにか僕にも『くーちゃん』という名前がついた。
僕がクマのぬいぐるみだからみたいだ。
君に『くーちゃん』と呼ばれるたびに何だかくすぐったい気持ちになる。
だけど、僕を呼ぶ時の笑顔は僕だけのもの。
その笑顔、いつまでも見ていたよ。
僕も笑えたらいいのに…。君と顔を合わせて笑い合う事ができたらどんなに幸せだろう。ぬいぐるみだからそんな事は有り得ないし、だいたい君は僕がこんな事を思っている事すら知らないんだから。今度は人間に生まれ変わりたいな―。君の隣で笑っていたいな。