唯の行方が判らなくなった。
それどころか、みんなが唯のことを忘れてしまった。

唯の事務所に行き、マネージャーの大倉に会った。
「川上唯。誰だそれ。知らないな」
大倉は冗談を言うような人物ではない。
本当に唯のことを知らない、いや、忘れてしまったのだ。

母親に電話をした。
「何言っているの。あんたに妹なんていないわよ。」

何が何だか判らない。

混乱した あつしはアパートの部屋に戻ると、
壁に寄り掛かり、虚ろな視線で天井を見つめた。